第71回 松島芭蕉祭並びに全国俳句大会
結果発表 令和7年11月9日
〈第71回 嘱目の部(当日投句)〉は近日中に公開します
岸本尚毅選
特選第一席
穴子捕る仕掛けのぞけば潮うねる
菊地 ゆき子(松島町)
特選第二席
枯蟷螂花より下りて花の上
遠藤 史都(大崎市)
特選第三席
永き日や雀遊ばす屋根の反り
岩瀬 一洋(松島町)
秀逸
御辞儀すれば御辞儀を返す春の鹿
松谷 直美(仙台市)
秀逸
吹きながら齧る唐黍獺祭忌
遠山 典子(松島町)
秀逸
秋惜しむ遊覧船の五十分
本多 遊子(東京都)
秀逸
鮫を吊るロープに氷る生血かな
遠藤 史都(大崎市)
秀逸
細道を芒の波と下りけり
髙橋 雪子(南三陸町)
入選
膝摩りさすりて今日も山背吹く
蒲田 吟竜(青森県)
入選
喜寿の身に時は速歩秋北斗
永山 憲子(那珂市)
入選
鉈をもて蹄切りたり雲の峰
山田 健太(水戸市)
入選
手に緩く包む空蝉こそばゆし
遠山 典子(松島町)
入選
線路に鹿汽笛三回鳴らしけり
石原 はるじ(仙台市)
入選
旅の僧置けば箱庭松島に
安徳 由美子(福岡市)
入選
猫の子に人の集まる夕端居
小松 温美(多賀城市)
入選
噴水を背に花柄のワンピース
佐々木 潤子(仙台市)
入選
彼方なる牡蠣小屋悟る三毛の髭
遠藤 玲奈(東京都)
入選
学校の朝のチャイムや水澄めり
鈴木 登喜子(石巻市)
入選
涼風や防災無線夕べ告ぐ
松井 弓(新潟市)
入選
牛肉の部位の図説や雁渡し
及川 源作(塩竈市)
入選
よく冷えし麦茶に濡るるお品書き
本多 遊子(東京都)
入選
旅愁とはたとへば駅の雛飾
瀬名賀 慎(東京都)
入選
逝く父の髭はまだ伸び春の雪
中村 すじこ(函館市)
入選
潮風の明らか蟻の二足立ち
遠藤 史都(大崎市)
入選
箒木のよく膨らんで風とほす
杏乃 みずな(上田市)
入選
盆の月水に棲む虫よく見ゆる
浅川 芳直(名取市)
入選
合歓咲いて少女の頃の椅子にをり
平野 悦子(水戸市)
入選
老斑の艶増しにけり櫨紅葉
鈴木 三山(角田市)
鳥居真里子選
特選第一席
漕げ漕げ漕げあなたのボート秋の蚊帳
小川 真理子(仙台市)
特選第二席
戦遠く豚の蚊遣りの口の前
土屋 遊螢(石巻市)
特選第三席
麦の秋よく寝た牛のよい牛乳
中村 すじこ(函館市)
秀逸
ところてん磯の香りを突きてやり
中村 智子(東京都)
秀逸
ドラマみな無味無臭なり終戦日
小野 豊(仙台市)
秀逸
十指涼しき仏壇掃除係かな
小川 真理子(仙台市)
秀逸
鷺草の多重衝突して優雅
多数野 麻仁男(府中市)
秀逸
蜘蛛の糸通り過ぎゆく夜勤かな
葦屋 蛙城(新潟市)
入選
やり投げの弧の美しくいわし雲
鈴木 優二(登米市)
入選
かなかなや夕べ来てゐる風の椅子
笹川 昌子(茨城県)
入選
あの世とは隣の部屋よ月涼し
石川るみ子(平塚市)
入選
地球の青担ふ鰯を食うて生く
佐々木 博子(大崎市)
入選
火の鳥か卑弥呼の国の鴇といふ
石川 喜美子(気仙沼市)
入選
かなかなやもうすぐ樅の木に朝日
佐藤 みね(美里町)
入選
月光の固まりであり凍鶴は
土見 敬志郎(利府町)
入選
ジャズフェス受かったちんちろりん鳴いた
藤原 英幸(仙台市)
入選
つくづくと桜の国の浮游せり
高橋 也有子(福島県)
入選
雲をみてつけてもらいし赤い羽根
狩野 甲七(仙台市)
入選
鉄の雨降らす国あり白鳥来
小野 豊(仙台市)
入選
鬼灯が照らすこの世の縁の下
土屋 遊螢(石巻市)
入選
とびきりの夏空をゆきそれつきり
小川 真理子(仙台市)
入選
落武者もビビアン・リーも芒原
内藤 明(桶川市)
入選
ちちもははにも愛された筈かなかなかな
大久保 和子(柴田町)
入選
花の昼カナリアのゐる理髪店
篠沢 亜月(仙台市)
入選
何故といふ言葉あかるしソーダ水
押見 げばげば(和泉市)
入選
燃えてゐるところを掬ふかき氷
弥栄 弐庫(松戸市)
入選
吾に小さき虚栄心あり蛾と思ふ
池之端 モルト(市川市)
入選
蛇に首預けて蛇の息を吸ふ
池之端 モルト(市川市)
高野ムツオ選
特選第一席
鮫を吊るロープに氷る生血かな
遠藤 史都(大崎市)
特選第二席
時雨忌や松々のなほ蒼々と
石田 賢吾(蒲郡市)
特選第三席
芋の露転がりながらひかり吸う
佐藤 みね(美里町)
秀逸
雀の子われも身ぬちに父母います
島 松柏(仙台市)
秀逸
銀漢の匂ひと思ふ桃の種
土見 敬志郎(利府町)
秀逸
夜に揺れる芒はいつか走り出す
千葉 和珠(利府町)
秀逸
遮断機の影伸びてくる終戦日
霧賀 内蔵(丸亀市)
秀逸
秋の雲海月のやうに溶けにけり
葦屋 蛙城(新潟市)
入選
海溝は空にもありて鰯雲
兵藤 康行(石巻市)
入選
飛魚や羽にひかりは畳まれて
工藤 幸子(盛岡市)
入選
見えぬこと見えて来ること鳳蝶
蘇武 啓子(大崎市)
入選
遠ざかる海を見ている夏休
鈴木 実(山形市)
入選
靴底の砂のざらつく厄日かな
遠山 典子(松島町)
入選
かなかなやもうすぐ樅の木に朝日
佐藤 みね(美里町)
入選
駈け出して風となりけり祭の子
今田 須美子(塩竈市)
入選
海原はもう鳥のもの土用波
秋谷 美智子(青森市)
入選
草に寝てわれ一粒の露となる
日下 節子(大河原町)
入選
月光の固まりであり凍鶴は
土見 敬志郎(利府町)
入選
祖霊在す山の裾まで蕎麦の花
平山 北舟(仙台市)
入選
鶏頭の襞の奥なる闇深き
川原 友記子(仙台市)
入選
子の名前みな親の夢秋ざくら
小坂 富子(横手市)
入選
青蔵王麻姑の手程の滝を抱き
土屋 遊螢(石巻市)
入選
宮城野萩しろがねの雨零しけり
伊藤 一男(仙台市)
入選
まだ誰も踏まぬ渚の淑気かな
曽根 新五郎(東京都)
入選
雲をみてつけてもらいし赤い羽根
狩野 甲七(仙台市)
入選
田の神を山へ送りて狸稲架
鈴木 登喜子(石巻市)
入選
野の隅に寝ころび夏の雲にのる
神野 礼モン(利府町)
入選
天高し名のみ伝はる奥の院
瀬名賀 慎(東京都)
成田一子選
特選第一席
一塊の北風ちよつと舐めてみる
齋藤 善則(丸森町)
特選第二席
箒目に鶏の足跡秋高し
伊澤 二三子(大河原町)
特選第三席
大漁や下膨れたる秋刀魚網
赤木 章嗣(彦根市)
秀逸
線路にも汗あり曲がりつつ光る
島 松柏(仙台市)
秀逸
天の川地平へ流れ魚と会う
佐藤 みね(美里町)
秀逸
眼裏の乾き深まる曼珠沙華
佐藤 みね(美里町)
秀逸
法面に興亡ありぬ葛の花
石井 裕光(仙台市)
秀逸
巌窟にスイス銀貨や新松子
海苔和(多賀城市)
入選
山の風あつまる湖面月見草
鈴木 恵子(村田町)
入選
鉈をもて蹄切りたり雲の峰
山田 健太(水戸市)
入選
葛の花日暮れは不意に水辺より
笹川 昌子(茨城県)
入選
酷暑なり痛そうに空晴れ上がる
赤間 マリ子(仙台市)
入選
遠ざかる海を見ている夏休
鈴木 実(山形市)
入選
旅の僧置けば箱庭松島に
安徳 由美子(福岡市)
入選
旅心定まつてゆく新松子
安徳 由美子(福岡市)
入選
少しなら何でも食ふと生身魂
髙宮 義治(仙台市)
入選
海原はもう鳥のもの土用波
秋谷 美智子(青森市)
入選
美人画のどれも頸長秋草も
日下 節子(大河原町)
入選
出来の良き贋作ひとつ買ふ小春
佐藤 茂之(釜石市)
入選
雲の峰サスペンダーの母の胸
横山 ひろこ(福島市)
入選
町会長よりずつしりと秋茄子
山崎 幸子(仙台市)
入選
嘘吐きの子だった記憶檸檬切る
大久保 和子(柴田町)
入選
敗戦日魚のやうに父の黙
大久保 和 子(柴田町)
入選
西瓜供す「これでじいちゃんいきかえる?」
みつ豆(盛岡市)
入選
麦の秋よく寝た牛のよい牛乳
中村 すじこ(函館市)
入選
鳩吹くや人に悲しき獣の眸
七瀬 ゆきこ(松坂市)
入選
文化部の黒髪きらい寒椿
青に桃々(たつの市)
入選
月そっと手にのせるごと蔵王梨
本木 朱実(大和町)
西山睦選
特選第一席
山伏の袋にざざと今年米
山内 伸一(塩竈市)
特選第二席
鉈をもて蹄切りたり雲の峰
山田 健太(水戸市)
特選第三席
稲屑火の煙を吸うて眠る村
三浦 健治(登米市)
秀逸
青嵐河童の赤子生まれたる
工藤 幸子(盛岡市)
秀逸
遠ざかる海を見ている夏休
鈴木 実(山形市)
秀逸
年の湯の四肢伸びてくるのびてくる
玉井 瑛子(仙台市)
秀逸
産み牛に力塩足す日の盛り
土見 敬志郎(利府町)
秀逸
花の昼カナリアのゐる理髪店
篠沢 亜月(仙台市)
入選
夜濯や着なれた野良着竿一つ
鈴木 恵子(村田町)
入選
山の上に山重なりぬ雲の峰
清水 孝修(鶴岡市)
入選
鉢巻きの母の肩幅牡蠣を剥く
八島 敏(仙台市)
入選
時雨忌の空青ければ海青し
遠藤 克子(仙台市)
入選
母上のまろ寝うつくし遠郭公
渡辺 徹(仙台市)
入選
縁側に席を移して走り蕎麦
長山 信行(塩竈市)
入選
少年の手に載す釣果秋夕焼
遠山 典子(松島町)
入選
虹潜る浦戸諸島の定期船
伊藤 一男(仙台市)
入選
少しなら何でも食ふと生身魂
髙宮 義治(仙台市)
入選
鯖雲を背負ひて来たる大漁旗
佐藤 茂之(釜石市)
入選
空蟬の背より大空広がりぬ
丸山 千代子(仙台市)
入選
山霧や牛の臭いの後をゆく
鎌倉 道彦(奥州市)
入選
たまゆらを触れあひ海月息づけり
須田 節子(相模原市)
入選
終電のいつもの席に受験生
砂金 眠人(一関市)
入選
白秋やはつり仏の煤光
土屋 遊螢(石巻市)
入選
水の味褒めて帰りぬ盆の客
篠沢 亜月(仙台市)
入選
敗戦日魚のやうに父の黙
大久保 和子(柴田町)
入選
冒険の旅に出でたる芒原
倉基 七三也(塩竈市)
入選
逝く父の髭はまだ伸び春の雪
中村 すじこ(函館市)
入選
こほろぎの濡身明りの中にゐよ
浅川 芳直(名取市)
坂内佳禰選
特選第一席
金盞花ほがらほがらと咲きにけり
中村 智子(東京都)
特選第二席
ざわざわと風やあやあと新酒酌む
小野寺 みち子(仙台市)
特選第三席
松島や月に息衝く島の数
齋籘 伸光(仙台市)
秀逸
滴りの奥にも音の気配かな
舘 健一郎(常陸太田市)
秀逸
月光の固まりであり凍鶴は
土見 敬志郎(利府町)
秀逸
つぎ目なき空の蒼さや蝉の声
三浦 克實(登米市)
秀逸
ジーンズ二本逆さに干して天高し
江口 昭子(多賀城市)
秀逸
水の味褒めて帰りぬ盆の客
篠沢 亜月(仙台市)
入選
神木の樹液の匂ふ秋暑し
菊地 ゆき子(松島町)
入選
仕立屋もカフェも一間よ初夏よ
岩瀬 一洋(松島町)
入選
添え木して千年の樫小鳥来る
大倉 由美子(仙台市)
入選
彼方から猫バスくるぞ旱星
長山 信行(塩竈市)
入選
火打石藻塩の煙り匂ひ立つ
今野 紀美子(塩竈市)
入選
若き日はなべて原色花カンナ
玉井 瑛子(仙台市)
入選
爆笑か憤怒か石榴の大口は
玉井 瑛子(仙台市)
入選
七彩の伊達の宗廟風花す
伊藤 一男(仙台市)
入選
蝦夷の地を河童の仰ぐ良夜かな
小野寺 昭次(奥州市)
入選
母訪へば蠅取りリボン揺れてをり
秋谷 美智子(青森市)
入選
首壇の碑文色なき風の中
三浦 克實(登米市)
入選
阿弖流為も母禮も馳せたる花野馳す
平山 北舟(仙台市)
入選
マラソンのスタート地点草青む
石原 みどり(青梅市)
入選
涼新た煉瓦の蔵に木の扉
大友 順子(仙台市)
入選
晩夏光猫碑に隣る一揆の碑
伊藤 一男(仙台市)
入選
たとふればコスモスははのしたたかさ
大久保 和子(柴田町)
入選
椋鳥の鳴きて一樹を膨らます
及川 源作(塩竈市)
入選
ひぐらしの声の名残のうすみどり
清正 風葉(川口市)
入選
ヒトといふ檻に出口や小鳥来る
檜野 美果子(仙台市)
入選
寒昴縄文土器に指の跡
木村 弩凡(今治市)
渡辺 誠一郎選
特選第一席
原爆忌人類知らぬ人類忌
小野 豊(仙台市)
特選第二席
夫の墓髭剃るごとく磨きけり
柏倉 ヤス子(山形県)
特選第三席
炉語りの一人後ろに影持たず
小田島 渚(仙台市)
秀逸
海を背に海の漢の墓洗ふ
平尾 美智男(神戸市)
秀逸
初蝉の声は今年もこの木から
内田 意登子(さいたま市)
秀逸
敗戦日魚のやうに父の黙
大久保 和子(柴田町)
秀逸
秋暑し角の欠けたる金平糖
小松 温美(多賀城市)
秀逸
亀鳴くを待つごと鳩のならびをり
中村 智子(東京都)
入選
長靴も農具の一つ草刈り女
鈴木 恵子(村田町)
入選
水に生くことに飽きたる蝌蚪に足
舘 健一郎(常陸太田市)
入選
青蔦やけものの道をひとつ消す
山田 桂(さいたま市)
入選
烙印か手の甲に降る桜蕊
二階堂 光江(盛岡市)
入選
時雨忌の空青ければ海青し
遠藤 克子(大崎市)
入選
梅の実の転がる先の梅だまり
岩瀬 一洋(松島町)
入選
酷暑なり痛そうに空晴れ上がる
赤間 マリ子(仙台市)
入選
打ち寄せる波を数へて夏の果
針生 きよみ(仙台市)
入選
父の手をしばし離るゝ夜店かな
石井 裕光(仙台市)
入選
銀漢の尾にちちの声ははの声
佐藤 光江(塩竈市)
入選
草に寝てわれ一粒の露となる
日下 節子(大河原町)
入選
梅雨空や海馬に小骨刺さつてる
丸山 みづほ(仙台市)
入選
苦瓜のゴジラのごとき皮を裂く
高橋 武比古(登米市)
入選
稲妻や思い遂げねば恋でない
丹羽 裕子(福島市)
入選
大空を目指す泡かなソーダ水
熊田 康子(稲城市)
入選
猫に添ひ猫に添はれて盆の月
押見 げばげば(和泉市)
入選
まつすぐに立たぬ折りづる終戦忌
飯村 祐知子(草津市)
入選
不機嫌をただ掻き回す扇風機
澤田 捨楽(仙台市)
入選
ががんぼは震へ頓服効き始む
霧賀 内蔵(丸亀市)
入選
爪先をぶつける箪笥終戦日
葦屋 蛙城(新潟市)